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LMC Championships 2011

LMC Championships

準々決勝: 板東 潤一郎(茨城) vs 渡辺 竜二(千葉)

Written by Takeshi Miyasaka

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192 人の権利保持者のうち 74 人が集結して始まった今年の LMC Championships も、8 ラウンドに渡る予選を経て、生き残りはわずかに 8 人となった。

ノーバイスタートの板東は、初戦敗北からの 7 連勝で、決勝ラウンドへ進出してきた。毎年「バイ持ちはだらしない」と言われる LMCC だが、板東のような背水の陣で挑む気持ちが足りないのかもしれない。

一方の渡辺は LMC の常連中の常連、安定の Bye 3 から 3-1-1 で 3 年連続となるプレイオフ進出を果たしている。二人とも予選ラウンドの話や、どのデッキがだるいだの語りながらシャッフルしていく。入念に。


Game 1

ダイスロールに勝った板東は「ドローファースト」とつぶやきながら後手を選択。ソーラーフレア同士の対決となるこのゲームでは、相手よりも土地を並べた方が、より潤沢に呪文をプレイし、よりドローに直結し、より勝利に近づく。板東の言を借りれば、後手はドローができるから最強、だという。

最初のアドバンテージを獲得したのは板東。まずは渡辺の 3 ターン目終了時に《熟慮》。先攻 4 ターン目に渡辺がプレイした《真面目な身代わり》、5 ターン目の《真面目な身代わり》をどちらも《マナ漏出》して、渡辺にはアドバンテージを与えない。渡辺は 5 枚目の土地を引けていないのだ。

一方で順調にマナを伸ばす板東は、5 ターン目にカウンターのマナを残しながら《ヴェールのリリアナ》を戦場へ。お互いディスカードをして忠誠度を上げてターンを返した。これを残していてはじり貧となる渡辺も《ヴェールのリリアナ》をプレイして対消滅させる。

「そんなにマナを使っていいの?」と言いながら青マナがひとつの渡辺相手に板東は《禁忌の錬金術》でアドバンテージをさらに獲得。かたや渡辺の《堀葬の儀式》《雲散霧消》して、墓地に置くことを許可しない。

渡辺がアドバンテージを獲得できずにもじもじしている間に《禁忌の錬金術》をフラッシュバックする板東は、そうして獲得したアドバンテージによって、渡辺の《禁忌の錬金術》《雲散霧消》。アドバンテージの獲得合戦は、常にイニシアチブを握り続けていた板東がマウントを取ったようだ。

古き良きパーミッションを好んで使用していた筆者からすると、手札をがんがん使用する両者のプレイはコントロールデッキにふさわしくないように見える、とタイプをしてはみたものの、つまりはフラッシュバック呪文を表裏両方でプレイすることで、骨の髄まで呪文をしゃぶりつくそうというコンセプトのデッキが、2011 年のソーラーフレアというデッキなのだろう。そう考えれば、むしろ相手の隙を突いてがんがんアドバンテージを獲得する呪文をプレイすべきだとわかる。実際にそうしている板東が現にいまマウントを取っていることだし。

板東が 2 枚目の《ヴェールのリリアナ》を着地させるが、これは渡辺がすぐさま今度は《忘却の輪》で追放させる。そして渡辺も戦場に 2 枚 目となる《ヴェールのリリアナ》を送り込み、互いにディスカードしてターンを終えた。

板東はそのターン終了時に《熟慮》をフラッシュバックしてリソース差を広げ、メインで《太陽のタイタン》をプレイ。誘発型能力で《ヴェールのリリアナ》を戦場へ戻して渡辺のそれと対消滅させる。一度取ったマウントポジションはかんたんには譲らない。

Sun Titan
Liliana of the Veil

《太陽のタイタン》が生き残ると死んでしまう渡辺は《禁忌の錬金術》から《太陽のタイタン》を入手し、これをプレイして《ヴェールのリリアナ》を戦場へ。《ヴェールのリリアナ》の能力を使用して板東に《太陽のタイタン》を生け贄に捧げさせる。ボードだけ見るとこのゲームで初めて渡辺がマウントポジションを取った。

板東はあわてずに《熟慮》をフラッシュバックしてから《審判の日》《太陽のタイタン》を除去して一方的なボードを平衡へと近づける渡辺は《ヴェールのリリアナ》でお互いにディスカードして忠誠度を上げ《大修道士、エリシュ・ノーン》をプレイするが、これも《審判の日》で対処する板東は、渡辺の《ヴェールのリリアナ》への回答としてトップから入手した《忘却の輪》を。

お互いにドロー呪文を打ち合い、必殺技を出し合い、それを受け止めて、やり過ごす。お互いに大技を出し合う様は、まるでプロレスを見ているかのようである。先ほどまでのやりとりが、互いの得意技を掛け合うシチュエーションだとしたら、戦場に《忘却の輪》だけがコントロールされているいまは、エプロン下に逃れた作戦タイムといったところか。

板東が《ネファリアの溺墓》でライブラリを掘り進め墓地を肥やしていくものの、渡辺はみたび《太陽のタイタン》をプレイ! 《幽霊街》を戦場へ戻して《ネファリアの溺墓》を破壊する。この《太陽のタイタン》は板東がトップデッキした《破滅の刃》で墓地へと送り込まれる。お互いにマウントを取り取られ、行ったり来たりするシーソーゲームの行方はいずこへ。

パワーカードを打ち合うパワーゲームの行方は、より土地を並べ、よりドローをし、より強力な呪文を効果的に使った方が勝利する。

板東は《禁忌の錬金術》をフラッシュバックして手に入れた《堀葬の儀式》をプレイして《太陽のタイタン》を釣り上げて失った《ネファリアの溺墓》を再設置。この《太陽のタイタン》へは渡辺の《破滅の刃》が飛ぶ。

次いで板東は手札から《太陽のタイタン》をプレイし、今度は《ヴェールのリリアナ》を戦場へ再投入する。《ヴェールのリリアナ》の能力によって互いにディスカードし、渡辺はライブラリのトップで闘うことを余儀なくされる。

渡辺がトップからプレイしたのは《聖別されたスフィンクス》だが、これを《瞬唱の魔道士》からの《破滅の刃》で排除する板東。返しで板東も《聖別されたスフィンクス》をプレイするが、渡辺はトップデッキした《忘却の輪》で排除する。

戦場に一人ぽつんと存在するクリーチャーである《瞬唱の魔道士》で板東が殴ると、ようやく互いのライフに差がついた。このマッチアップにライフは必要ないよね、と板東がゲーム開始時に言っていたことがいまさらのように理解した筆者である。

この時点でトップデッキで戦い続けるしかない渡辺と、超えた墓地と生き残った《ヴェールのリリアナ》がある板東とでは、リソース差は歴然であった。

プロレスの行方は、板東が《ヴェールのリリアナ》の最終奥義を使用したことで、渡辺のパーマネントが半減して決することになる。いちおう逆転を夢見てゲームを続ける渡辺ではあったが、板東がプレイした新しい《ヴェールのリリアナ》がもう一度奥義を炸裂させるまで、渡辺にできることは、なにも無かった。

板東 1-0 渡辺


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Game 2

板東とは対照的にプレイファーストを選択する渡辺。

板東 「ドロー(をオレに)くれちゃっていいの?」

そううそぶく板東に対して、渡辺は苦虫をかみつぶしたような顔で、テイクマリガン。ファーストアクションは《虚無の呪文爆弾》、ついで互いのエンドにそれぞれ《熟慮》《熟慮》フラッシュバックというドローで手札の充実を図る序盤のターン。

渡辺が撃ち放った《蔑み》に対して板東は《瞬唱の魔道士》をプレイして戦場へ。板東が公開した手札は《審判の日》《禁忌の錬金術》《マナ漏出》《雲散霧消》《幽霊街》《平地》。カウンターとドロー呪文がしっかりと握られている。

板東のエンドに《禁忌の錬金術》をプレイして、渡辺は板東から《雲散霧消》をいぶりだす。青マナがなくなった板東に対して、メインで《記憶の熟達者、ジェイス》をプレイしてすぐドロー。板東は公開済みの《忘却の輪》をプレイしてこのプレインズウォーカーを追放する。

渡辺が次いで《ヴェールのリリアナ》を繰り出すと、板東に《瞬唱の魔道士》を生け贄に捧げさせる。先攻を取った渡辺はどうやらマウントを取っているようだ。板東はエンドに《禁忌の錬金術》をプレイして手札の充実を図り、来る中盤戦への戦いに備える。さらに《禁忌の錬金術》をフラッシュバックするが、これは渡辺が《マナ漏出》。さらに別の《禁忌の錬金術》をフラッシュバックした板東は《忘却の輪》を獲得、《ヴェールのリリアナ》《忘却の輪》で追放する。

しかし渡辺は攻める手を休めない。《堀葬の儀式》によって墓地から《聖別されたスフィンクス》を釣り上げる渡辺。板東はこれを許可する代わりに、ターン終了時に《禁忌の錬金術》をプレイする。互いに大技の応酬をするプロレスふたたびである。《禁忌の錬金術》は渡辺に《マナ漏出》されるが、《聖別されたスフィンクス》《破滅の刃》で屠ることに成功するのだった。

墓地にあるカードはリソースとなるのがこのソーラーフレアというデッキである。《堀葬の儀式》をフラッシュバックしてふたたび《聖別されたスフィンクス》を戦場へと呼び出す渡辺。これを板東はふたたび《破滅の刃》して墓地へと差し戻す。

たがいに手札からプレイ、墓地からプレイ、手札からプレイ、墓地からプレイ、拾ってプレイ、と何度も同じスペルをスルメのように味わいながら使い倒していく。これが新しいソーラーフレアの醍醐味といったところか。ドロー厨にはたまらないところだろう。

結局のところ、このデッキはコントロールデッキではあるものの、パーミッションというよりは、ヘビーにアドバンテージを稼いでがっつりマウントを取るデッキであるということか。お互いの隙をうかがいながらいかに相手より多くカードを引くかという一点に向かって集約しているように見受けられる。

そうしてスペルの応酬をしているうちに、板東がよりドローに恵まれ、ついには手札を捨てようとするまでに至っていた。たいして渡辺の手札は 3 枚。アドバンテージデッキの戦いで互いに土地を並べまくっている状態でこの手札の差は、すなわちハイカロリーな、質のいい手札の差と言うことである。

渡辺が少ない手札を駆使しながら《ヴェールのリリアナ》をプレイすれば、これはカウンターされ。墓地から《聖別されたスフィンクス》をつり上げれば、これは《破滅の刃》され。《忘却の輪》をプレイすれば、これは《瞬唱の魔道士》からの《雲散霧消》で打ち消され、大技《解放された者、カーン》《雲散霧消》され。手札の差がそのままマウントの差となっていた。

しかし、その代償として互いにライブラリを消耗していた。渡辺のライブラリはわずかに 4 枚まで落ち込んでいて、誰の目にも板東へ勝利の女神が微笑む寸前のようだった。

ただ一人、渡辺をのぞいては。

渡辺がプレイした《忘却の輪》が板東の防御網をくぐり抜けて戦場へ着地すると、《記憶の熟達者、ジェイス》を遙か昔に追放していた《忘却の輪》を追放する。

Jace, Memory Adept

渡辺は《記憶の熟達者、ジェイス》の能力を読み、ついで板東のライブラリの残数を数えた。

板東のライブラリは、ちょうど 10 枚。

板東 1-1 渡辺


Game 3

シングルエリミネーションで行われる決勝ラウンドでは、時間切れ引き分けという選択肢は存在しない。どちらか一人だけが生き残る方式であり、あらゆる方法で決着をつける。プロツアーや世界選手権といったプレミアムなイベントでは時間制限の類はなく、純粋にゲームの技量だけで決めることができるのだが、悲しいかな、個人のイベントではいろいろと制約があり、たいていの場合使用している会場の閉場時間との兼ね合いで時間制限が設けられる。

今回の決勝ラウンドは時間制限が予選ラウンドより 10 分増えた 60 分で行われていたが、残り時間 2 分で始まった最終ゲームは、おそらく予選ラウンドで言えば引き分けで終わることになる。その後はライフに差が出るまでサドンデスでゲームは続行となる。

この二人で、ライフに差がつくまで?

最初のゲームを思い出し、気が遠くなる筆者であった。

ライフ差のゲームだからか、板東が自主的に先攻を選んでスタートするが、お互いに土地が 3 枚並んだところで時間制限が訪れ、たがいに 1 ライフを攻めるチキンレースが始まった。

とはいえ、互いに土地を並べ、ディスカードし、自分の墓地を肥やしていく作業がたんたんと続く。

が、その作業も渡辺が土地 4 枚でストップすることで、天秤は板東の側へと傾いていく。渡辺が土地を増やせない間に、板東は墓地を肥やし《禁忌の錬金術》で手札を充実させ、毎ターン土地をプレイし続ける。このゲームを決するであろうクリーチャー《ワームとぐろエンジン》も「重いから(カウンター合戦に邪魔なので)」という理由で墓地に送り込まれる。いつしか二人の土地は、板東 8 枚に対して、渡辺 5 枚という開きとなっていた。

その後も渡辺が土地を増やせずもじもじしている間に板東は土地を 12 枚まで増やし、万難を排して別の《ワームとぐろエンジン》をプレイした。これを通したら負けてしまう渡辺は《雲散霧消》し、板東は長考の末カウンターされることを選んだ。板東はこれをカウンターすることもできたが、その返しでトークンをばらまかれると敗北すると考えたようだ。

そんな板東の石橋を叩いて渡るプレイは、《瞬唱の魔道士》を渡辺のエンドにプレイすることで決着を見る。もちろん渡辺は《雲散霧消》でカウンターしようとするのだが、当然板東の手札にも《雲散霧消》が握られているのだから。

《瞬唱の魔道士》が二人のライフに差をつけるまでにかかった時間は、ゲーム開始から 70 分が過ぎたころであった。

板東 2-1 渡辺

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